昼間の読み物

バイザヤードが買えないならこれにしよう。本当は教えたくないはじめてのダイヤのネックレス

「いつかティファニーで朝食を」という漫画がある。これは言わずもがな、かのオードリーヘップバーンの名作「ティファニーで朝食を」を文字ったタイトルであり、確かにいつかはあの映画のワンシーンのようにティファニーのショウウィンドウの前で気取ってパンをかじってみたいのはやまやまなんだけど。

わたしの中の”いつかティファニーで”は朝食じゃない。

「いつかティファニーのバイザヤードを」。

あの頃の情熱とともに、いつの間にかそんな憧れすらすっかり忘れてしまっていた。


https://pixabay.com/ja/

劇中でもっとも印象的なのがオードリー演じる主人公の落ち込んだときのジンクスで、それがニューヨーク5番街のティファニーでジュエリーを眺めること。
パーティー三昧でキラキラしているように見える彼女の日常だけど、やっとの想いで東京に出てきたわたしは、それを叶えるにはどんなに努力が必要かもう知っている。

キラキラして見える大都会で暮らす彼女にとって、本当にキラキラと輝く宝石はきっとなによりの真実だったんだろう。

最初にあの映画を観たのは確か高校生のときで、ティファニーは映画のなかに出てくるだけの、遠い遠い雲の上のような存在。そして、次に”ティファニー”に興味を持ったのは、それこそ東京に暮らしはじめたばかりの頃だった。

当時はまとめサイトが流行りだした時期で、10代のときは古着や派手な格好ばかり好んでいたわたしも、20代を迎えて女の子らしいよそおいにシフトしはじめた年頃だった。

そんななか、”女子力アップ”系の記事を探していてたまたま見つけたのが「恋が叶う」というふれこみのティファニーのネックレス・バイザヤード。

それは、いままで数千円で買っていたおもちゃみたいなアクセサリーたちとはまったく違って、華奢で繊細でうんと”女性”っぽいジュエリーだった。


https://www.shutterstock.com/

これを身につけると想いが実るだとか、仕事がうまくいくだとか、そんな言葉に誘われてついつい欲がわく。しかも、うさんくさい、都市伝説みたいな話なんかじゃなくって、あのティファニー。

そして、バイザヤードのジンクスを叶えるには、いくつかの条件があることを知る。

  • 0.05~0.14カラットの小さめのダイヤを選ぶこと
  • プレゼントしてもらうのではなく、自分のお金で買うこと
  • 無色のダイヤモンドで、チェーンはゴールドかローズゴールドを選ぶこと
  •  

    ダイヤのダの字もわかんないのに、無色って、カラットってどういうこと?そもそも、いちばん安価なものでも8万円くらいは見積もらなきゃいけないし、はなからどう頑張っても手は出せそうにない。

    でも、せっかく夢中になって読みあさって知った”バイザヤードの魔法”。せめて、大人の女性に近づくたしなみとしてダイヤのネックレスだけでも挑戦してみる価値はあるんじゃないかって思った。

    思いついたのは、すこしでもジンクスにあやかるために、バイザヤードに限りなく似たネックレスを探すこと。だけど、それまでのわたしは雑貨屋さんでなんとなくカワイイからと手に取ったチープなアクセサリーしか持っていないから、どこでジュエリーを買えばいいかなんてまったく検討がつかない。

    困り果てて、すこし歳上の友人に相談してみる。すると彼女は、「楽天市場でアクセサリーを買うのにハマってる」とこっそり教えてくれたのだった。

    すっかりティファニーの魅力に舞い上がっていたわたしは、「ネット通販かぁ…」となんとなく盛り下がった気分でいた。しかし、彼女が言うには、”デパートに入ってるお店と違ってブランド料があまりかからないから、安くていいものがたくさんあるよ”とのこと。

    早速、彼女に教えてもらった店舗のページを覗いてみる。すると驚いたことに、たしかに手が届きそうな値段で、一丁前に気取れそうなすてきなジュエリーがたくさん。
    だけど、まるでよくある婚約指輪みたいに爪があるタイプのネックレスばかりで、追い求めていたあのイメージとはぜんぜんちがう。

    バイザヤードはもっとこう、なんていうか、ダイヤをまあるく包んであるみたいな形なのに。


    https://www.rawpixel.com/

    また性懲りも無く、ジンクス記事を読みあさったときのように、ネックレス探しにネットサーフィンの渦へ。

    やっとの想いで見つけたのは、なんとバイザヤードにちゃあんとそっくりな形をしたものだった。

    実は、「やっぱり」と心配になって通販で買わずに実店舗にまで足を運んでしまった。お店のおねえさんは微笑ましそうにわたしの話を聞いて、一緒になってうんうん唸って、わたしの初めての”ダイヤのネックレス”を選んでくれた。

    「ダイヤって、世代を重ねるごとに大きいものが欲しくなるものなんです。だからこそ、若いうちは小さい石のもので充分華やか。」
    「こうやってチェーンで長さを変えられるから、例えば重ねづけする時にもいいんですよ!」

    バイザヤードの魔法は、”スキンジュエリー”と言われるあの特徴的な形にあるんだそう。よくある立て爪のものと違って後ろに台がないから、ダイヤが直接肌に触れることでパワーを発揮してくれるんだとか。

    わたしが選んだのは、金属部分に包まれてほんのひとまわり小さく見えるからと絶妙なバランスの0.1カラットで、シーンや服装を選ばないゴールドの金具のもの。

    すこし考えて、包装はお断りして、その場でつけてもらうことにした。緊張で大真面目な顔して行ったのに、帰りはなんだかほんのりにやにやしてしまった。


    浮かれてる、当時のインスタ

    \ mine /

    あれからたしかに恋は叶ったり、手放したりもした。仕事も上手くいったり、スランプにもなったりした。

    それでももう何年も、どんなに心が腐りかけそうになっても片時も離れず、あの時のネックレスはわたしの胸で光ってくれている。

    20代をずうっと伴走してくれたわたしのエセ・バイザヤード。もうすぐ迎える30代で本物とバトンタッチするかは、きっと未来のお楽しみ。

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    さとうひより/ロジエ編集長
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