夜更かしのオトモ

「絵に泣いてもらったりするんです」イラストレーター・だるだるがーるの色彩のモト

彼女を見つけたきっかけは、ツイッターにあった「#絵描きさんと繋がりたい」というハッシュタグ。

この読み物サイト「ロジエ」を立ち上げようと思いついたときから、トップのデザインはぜったいにイラストにしようと決めていた。
なんだかそのほうが、だれの心のなかにもいる小さな女の子を投影しやすいんじゃないかと思ったから。

だけど、肝心なイラストレーターさんがなかなか見つからない。

「あ、そうだ」とピンときて、「えいっ」と検索してみた先に、それはあった。

そうそう、そうなんだよ。これなんだよ。

わたしは女の子がすきだ。(すきだ、と言うと他意があるようにも見えるけど、性的対象とか、恋愛感情ではないようだ)
どこにでもいそうな普通の女の子が意中の人にしか見せないような色っぽさや、すました顔でこっそり持ってる大胆さがすきだ。

「エロ」でも「セクシー」でもなくて、「コケティッシュ」。
アンニュイとかメランコリックとか、他にも言葉をたくさん並べれば伝わるのかもしれないけど、一目でぴしゃりとわかってもらうための素材がほしい。

真夜中にもかかわらず、動かずにはいられなくて長い長いDMを送った。

真夜中にもかかわらず、すぐに「ご期待に添えるか不安でいっぱいですが、ぜひやらせていただきたいです」と返事がきた。

そんなふうにしてでできあがった「ロジエちゃん」。

今回は、サイトのイメージイラストを描いていただいただるだるがーるさんとお会いして、そのクリエイションにかける想いをお話しさせていただきました。

「言葉の代わりにあるものが絵だったのかなって」


ーまずは、すてきなイラストをありがとうございます!
ツイッターやインスタグラムのアカウントもはじめたばかりのようだったので、まだかけだしのイラストレーターさんなのかな?と想像していたんですが、仕事のはやさと再現性の高さにただただびっくりしちゃいました。
いつから絵の活動をされていたんですか?

だるだるがーる:本当ですか…!そう言っていただけて、私もうれしいです。
実は今、まだ医大に通っている学生なんです。これから4年生になって、臨床実習がはじまって、感じたことも絵に残したいなって。そう思ってアカウントを作ってみました。
今はココナラとか、インスタから依頼をいただいて、プロフィール用のアイコンを描いたりすることが多いです。

イラストは…祖父の影響で小さい頃からお絵描きが好きだったんです。だから、イラストレーターとしてはまだ日が浅いけど、絵自体はずーっと描いてきました。




ーなるほど。とにかく教室でもずっと絵を描いているような子、クラスにひとりはいましたもんね。大人になってもずっとすきなものがあるって、やっぱりいいなあ。

だるだるがーる:お恥ずかしいんですけど、中高生のときは作家さんにも憧れがあって。
こんなふうになりたい!って野望をいだいて、文章を書いてた時期があったんです。

でも、自分の気持ちをなかなかストレートに表現できない。
たとえば英語とかなら言えるのにってことが、自分の言葉である日本語にあって。

なにかを伝えたいとか、表現したいときに、言葉の代わりにあるもの。それが私にとっては絵だったのかなって思うんです。


(現役医大生でもある、だるだるがーるさん。イラストのなかには、白衣を着ているものも多い)


ーそうなんだ!でも、絵はもちろんすてきだけど、それに添えられてる言葉にグッときたのもお願いした理由のひとつなんですよ。
実際のところ、イラストレーターとかデザイナーみたいなクリエイターに求められる再現性って、経験によると思うんです。日常のなかでその人がたくさん考えたり、感じたりしていなかったら、クライアントが求めることを汲み取るのはきっと難しいから。

だるだるがーる:それは…そうかもしれません。私、怒れないタイプなんです。
家族とか友人とかからは普段けっこういじられキャラだったりするんです。それはもちろんイヤじゃないし、信頼関係もあるけど、もっと大事なことを伝えようとすると言葉が出てこない。飲み込んじゃうんですね。

雰囲気がこわれるし…と思って笑ってやり過ごす。言えない自分がツラくて。
そういう人もきっといるはずだから、私の絵のコンセプトは「誰も傷つけない」なんです。


ーあ〜。わかる気がします。わたしも文章を書いてるけど、それは話すのがニガテだから。だけど、そういう心の上澄みみたいなものがある人だけが、きっと「作りたい」って思うんじゃないでしょうか。

だるだるがーる:あの…私、絶対に1日に1回じんましんがでるんですよ。ストレス性のものらしくて、いつも1〜2分で消えるんですけど。
でも、自分が意外と溜め込んでるんだって気づいた時に、周りの人ももしかして本当は言われてイヤなこととか、我慢してることがあるんじゃないかなって考えちゃって。自分の言い方も気をつけちゃうようになったんです。
だから、絵を通じて人とかかわりたいと思うようになったのかもしれません。

怒りが、涙に変わっちゃうタイプなんですよ。だから、代わりに絵に泣いてもらったりするんです。

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さとうひより/ロジエ編集長
さとうひより/ロジエ編集長
「女の子だから」とジェンダー的不平等や性の搾取にけっして遭うことなく、「女の子だから」と自覚的に楽しめる社会をつくる野望を叶えるため、インターネットでの読み物サイト「ロジエ」を立ち上げました。      ▶︎​このライターの記事をもっと読む!