昼間の読み物

だから、選んだのは”東大卒・元アイドル”橋本ゆき。【28才女子、はじめての投票に行く】

    

あの日、家に帰ってからもよ〜く考えてみて、やっぱり橋本さんを選んだのは「彼女がアイドルだったから」かもしれません。

(※だから、推しカラーの黄色で参戦してみた笑)

わたしは選挙に対して、ずっと”騒音”だと感じてきました。
「〇〇を変えたい!」とか、「〇〇な政治をしていきます!」なんてうるさく自分ごとばかり主張されて、期間が終わるまで我慢しなくちゃいけなくって、どうせ選挙カーの上からはわたしたちのことなんて見えてないんでしょ?なんてふうに。

駅前で橋本さんとお話しさせていただいた日。彼女のSNSを覗いてみました。
インターネットのなかでも、たくさんのかたと交流して、自分の想いを発信して。

街中で、ひとりひとりに笑顔でハキハキと声をかけて、握手をして、まっすぐ向き合って。

そんな選挙活動もあるんだな思ったときに、それには彼女のアイドル時代が反映されてるんだなと容易に想像できたんです。

そして、無事当選して、政治家になって、フィールドが変わってもずっとそんな風に活動していくんだろうなって。

彼女が立候補する「あたらしい党」は、その名の通り新設の政治団体。

町のすみっこでお話しさせていただいたときに、「こり固まっていないあたらしい党だからこそ、最新のテクノロジーや斬新なアイディアをスムーズに取り入れることができるんです」と教えてくれました。

わたしは、ADHDという脳の障害(発達障害)を持っています。

橋本さんが車椅子の生活になってしまったメンバーのことを話してくれたのは、わたしが「だから社会に参加したくて、投票に行ってみたいんです」と打ち明けたのがきっかけでした。

やっと診断を受けた27歳の去年は、入院したり、障害者手帳を取得したりと、なにかと行政と関わることの多い年でした。
いわゆる”お役所仕事”にうんざりしたり、「この人はたまたまこの課に配属されただけで、本当はやりたくないんだろうなあ」と思ってみたり。

もっともっと振り返れば、”被害者”になってしまってかけこんだ警察でイヤな目にあって、「結局なにもしてくれない」と自分の両親のような不満を抱えたりしていました。

発達障害は、精神障害でも、知的障害でもない。まだまだ世間からの理解が薄い障害です。

たとえばLGBTのかたのように「ゆずりたくない気持ち」もあるし、色覚異常のかたのように「周りとの認知のズレ」があったりもする。車椅子のかたのように、普段は普通におしゃべりができても、特定の場面では周りの人のサポートが必要なときもある。

でも、それがわたしです。そして、そんなマイノリティを自覚するまでは”社会”にまったく関心がなかったのです。
「どうせなにも変わらない」「自分には関係ない」と信じ切っていました。
きっと、そのおかげで、今やっと目を向けていく意識ができたのかもしれません。

そんな社会を代表して変えていくひとは、やっぱり自分で選びたいから。
だから、今年は投票に行ってみました。

何年か前に、お世話になっているかたからこんなことを言ってもらったことがあります。

「ひよりちゃんは、とにかくいろんなひとと逢って自分を知ってもらうといいよ!ひとりひとりと握手するような気持ちで。選挙みたいにさ」

先日、数年ぶりにお会いしてそのことを言ってみたら「ぜんぜん覚えてないけど、でもそうだよね。あなた誤解されやすいから!」と笑ってくれました。

わたしはやっぱりまだこの世の中を「生きづらい」と感じているから、だれにも会いたくなくて、だれとも話したくないような日も、ときおりやってきます。

でも、だからこそ。自分にしかできないことをコツコツ積み上げて、たくさん人に出逢っていきたいです。

「よろしくお願いします!」と握手するために。

(そしていつか投票行って外食してみたい)

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さとうひより/ロジエ編集長
さとうひより/ロジエ編集長
「女の子だから」とジェンダー的不平等や性の搾取にけっして遭うことなく、「女の子だから」と自覚的に楽しめる社会をつくる野望を叶えるため、インターネットでの読み物サイト「ロジエ」を立ち上げました。      ▶︎​このライターの記事をもっと読む!